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2019年6月25日火曜日

花の色

先日、お客さんであるプロのお蕎麦屋さんから興味深いことを聞いた。

ジャガイモのような植物が育つ土壌では蕎麦は作らず、土壌の栄養が少なく、寒暖の差がある年の方が私たちが食べて美味しいと思える良い蕎麦が作られるそうです。


精油の植物の話を聞いているようでした。
ラヴェンダーに例えて考えてみると、
・フランスでは、他の植物が育たないような石灰質で育つ
・ワイルドラヴェンダーは、標高1,200mという高さの辺りであのプロヴァンスの強い日差しを受けながら育つ
・蜂という媒介者によって複雑な成分が出来上がる

蕎麦の実も精油も、こういったもう人間がどうこう出来ない自然の生態系によって調度良く調整されているのですね。


更に、
蕎麦の花はいくつかあって、色の濃いものほど蕎麦の香りが強くなるそうです。
確かに、この間行った「go green market」でバラの花を10種類くらい嗅ぎわけたら、色の濃い花ほど香りがしっかりしていました。

とても興味深く探したら、花の色についての文献ありました。
花の色によってその香りの成分の方向性が分かれるそうです。
なので、花の色を見て香りを予測できるんですね!

紫、ピンクの花(salvia, sagebrush,and other aromatic herbs):セスキテルペンから独自の香りを放つ
赤い花:長鎖炭化水素の香りが大部分を占める


昆虫も独自の視覚システムがあり、
ミツバチ:UV(紫外線が色として見える!!)、青、緑の3原色の色覚系
蝶・カブトムシ:赤(アゲハは物体の色・明度・偏光という異なる視覚属性を同じ受容細胞群で見ている 

風が強い日には、植物からの芳香が消えてしまいがちですが、それを色でカバーして媒介者を引き寄せる。
どんな環境で育っても子孫繁栄の為、こんな知恵が働いていたとは、驚きでした。
花は、媒介者を選んでいるのでしょうか?

結局、花の香りの強さ弱さは一体何に関係があるのか、、、またの機会に調べたいと思います。


参考文献
・Aphrodite Kantsa,Robert A. Raguso. Abrian G.Dyer, Stefanos P. Sgardelis, Jens M. Olesen & Theodora Petanidou Published:04 September 2017

・木下充代 2006 年 23 巻 4 号 p. 212-219


・木下充代  種生物学会 電子版和文誌 第1巻1号 2016年3月